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ボクが選んだボクの人生~25 それなりに順調だった~ [小説「ボクが選んだボクの人生」]

 翌日。ボクを囲んで、二人は何やら嬉しそうに話をしている。
名付け方のヒント、みたいな本を見ながら名前を考えてくれているらしく、
「リン」とか「サクラ」などと次々に候補をあげているのだが、
名字とつなげて考えるという作業を怠っているのがどうにも気がかりだ。
「ハラリン」や「ハラサクラ」だと、ボクは少々落ち着かないんだけど。
ああでもない、こうでもないとしばらく迷ったあげく、
二人が選んだのは彼の母校の名称から一字をとった「ショウコ」という名だった。
「ハラ」という名字とつなげるとどうなるかについて、二人は考えなかったのだろうか。
「ハラショー」というあだ名の、男勝りな女の子。
ボクは自分の将来がくっきりと見えてきた気がした。
(後にこの名前は「「湘子」と書くのだと知った。原湘子。字面はクールで、悪くない。)

 それから数年。服や靴の色に若干の違和感を覚えたりすることはあったが、
ボクは女の子としてそれなりに順応しながら生きていた。
そもそも昔と違って、言葉遣いだって男女間に大きな格差はない。
幼稚園の庭にあるジャングルジムや滑り台で派手に遊び、
テレビ番組においてはヒーローものをこよなく愛していた。
「おい、ハラショー。帰ったら公園で遊ぼうな!」ボクを誘うのはたいてい男の子。
すべてが順調、だった。ボクの中の、ある変化をのぞいては。


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降龍十八章

はらしょうこ、というと『不良少女と呼ばれて』を思い出します。(古すぎる?)
どうか、ボクは不良少女にはならないでくださいね。
by 降龍十八章 (2005-10-18 10:37) 

はなぽん

ほ、ほんとだ!今検索してみました。
しかもその原さん、この10月にお亡くなりになって・・。
何だかとっても失礼なことを書いてしまって
どうしようかな・・・と思いますけれども、
原笙子さんがペンネームでいらっしゃるので
見逃していただこうと思います。
違う字にしといてよかったぁ!

ついしん。古すぎないです。私、放送の時期に
きっちり大人でした。
by はなぽん (2005-10-18 10:47) 

降龍十八章

なるほど、ボクというのは前世の記憶みたいなものだったのですね。
ところで、秋桜のみたのは伊藤麻衣子のやつですか?
もしかして、リバイバル(あったかな?)のやつでしょうか?
by 降龍十八章 (2005-10-18 15:56) 

はなぽん

そうですねー。ほぼ「前世の記憶」を擬人化したもの、ですね。
ただ、いつの間にか「ボク」に愛着を感じてしまってたので、
箱に閉じこめるのが悲しかったです。

伊藤麻衣子さんのです。リバイバルはあったかどうか分からないけれど、
私の知っているのは1984の伊藤さんの。
彼女、年齢を重ねても可愛くて好きですよー。
一万円生活で波田陽区さんと暮らしてたけれど、
お料理も工夫が素晴らしくて感心しました。
by はなぽん (2005-10-18 18:17) 

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