ボクが選んだボクの人生~16 災い転じて~ [小説「ボクが選んだボクの人生」]
ボクの執行猶予期間が、こんな形で延長されるのは、予想外の事態であった。
心配のあまり体調を崩しながらも、懸命に一人で耐えてきた彼女は、
少しずつ落ち着きを取り戻しつつあった。
彼に関して入ってくる情報は「全治8ヶ月」だとか「今期絶望」だとか、
明るい材料はひとつとしてないにもかかわらず、
ふさぎこんだりため息をついたりということのない彼女は
打たれ強く凛とした女性だ、とボクはあらためて実感した。
日数の経過を数えるのに辟易としてボクが大雑把になり始めた頃、彼から電話がかかった。
彼女の受け答えから判断すると、彼は地元の病院に移った後、自宅療養に入ったようだった。
おそらく家族が出かけたすきに電話をかけてきたのだろう。
彼女はずいぶんと心配したけれど体調は問題ないことを告げた上で、
「タイムオーバー、だよ。問題点山積みかも知れないけど、
赤ちゃん、産むからね。とにかく治ってからいろいろ考えよう。」と明るい声で言った。
第一関門、クリア。これからどんなことが起こるか分からないけれど、
ボクは小さくガッツポーズをきめた。
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