天才モンちゃん今日も行く(第十二話) [小説「天才モンちゃん今日も行く」]
数日が過ぎて空き地での一件を忘れ去った功太君は、
毎日飽きもせずモンちゃんの後を追いかけては庭でボールを投げ、
ちょっと目を離すと冴子さんが台所で何かしている隙を見て脱走を試みる。
そんな功太君のお守り役にへとへとになりながらも、
何だか可愛い弟が出来たようでまんざらでもないモンちゃんなのであった。
さらに数日。
ミヨさんはずいぶんと元気になり、暖かい昼間のうちに散歩に出られるほどになってきた。
「うちのことも気になるから、そろそろ帰るね。」という冴子さんの言葉を聞いた功太君は、
すぐに走り寄ってきてモンちゃんにぎゅっとしがみつき、
「やだ!モンちゃんともっと遊ぶ!」と泣きじゃくりながら駄々をこねている。
「またおいでね。」とミヨさんがやさしく諭しても、
冴子さんが「また来れるからね。我慢してね。」と頭をなでても
ずっとしゃくりあげて「モンちゃんともっと遊びたい・・・。」と泣く功太君に、
モンちゃんもたまらなく寂しくなって泣きそうになるのだった。
冴子さんと功太君が帰ってしまってミヨさんと二人きりの暮らしに戻ると、
モンちゃんは以前にも増して「何か役に立つこと」を探すようになっていた。
新聞受けから今日の朝刊を取ってくると、ミヨさんの手の届くところに置き
老眼鏡を運んで、昨日の新聞は納戸に片づけておく。
郵便屋さんや回覧板を持ってきた町内の人の気配がすると、
一目散に玄関に飛んで行き、受け取ってミヨさんのところに運ぶ。
お薬の時間になると、薬袋の置いてある棚のところに行って
「わん!」と吠えてシッポを振り、ミヨさんに知らせるのであった。
「僕に手があれば、洗濯やお掃除もしてあげられるのに。」と悔しく思いながら、
自分に出来ることはすべてしてあげようとするモンちゃんに、
「ありがとうねぇ。モンちゃんが居てくれるから本当に安心だよ。」と
やさしく言いながら頭をなでてくれるミヨさん。
「この幸せな時間がずっと続きますように」とモンちゃんは心から願うのであった。
ー続くー
秋桜さん、
コメントありがとうございました。
おてんば「すず」は、なかなかじっとしていてくれないので、
ブログに掲載した写真はようやく良い表情が撮れたものです。
(いつもは「遊んでくれないからつまらない」という表情が多いです)
すずのことは、これからもたくさん書いていきたいと思います。
あまり日記風になってしまうと恥ずかしいので、
これからも「素朴な疑問」の形でお伝えしていきたいと思います。
モンちゃんの話もどのように展開していくのか、楽しみです。
by Suzu-papa (2005-11-01 08:23)
Suzu-papaさん、ありがとうございます。
自分で犬が飼えない分、飼っておられる方のサイトを
訪ねるのが何より好きです。
中でもすずちゃんの可愛さは飛び抜けていて、
何度も写真を見てはため息をついています。
また様子を教えてくださいね。
by はなぽん (2005-11-01 09:11)
モンちゃん、健気ですね。ええ子や。
なんだか嵐の前の静けさのような雰囲気を感じます。
このあと何かあるのだろうか。。。
by (2005-11-01 21:17)
秋見さんの「ええ子や。」ってあったかくていいですねー。
今日も夕方出かけた先で、犬を見てきました。
目が可愛くて、思わず話しかけてしまうほど。
明日から、少し話が動きます。うう・・・。
by はなぽん (2005-11-01 22:52)
>明日から、少し話が動きます。うう・・・。
意味深な一言ですねえ。これだから目が離せない。
びっくりする準備をしつつそろそろ寝ます。おやすみなさい。。
by 時売り −ある時間商人の話− (2005-11-02 02:11)
トキタさん、お久しぶりです!
遅くまで起きておられるんですねー。
私は珈琲を飲んでがんばっても十二時になるとダメ。
まぶたがおりて来ちゃいます。
もう次の回をアップしたのでおわかりだと思いますが、
そうなんです。事件なんです。
穏やかな日常・・・・でいきたい気持ちもありましたが、
当初から考えていたある場面を作るためにこうなってしまいました。
これからも時々来てくださいね(^^)
by はなぽん (2005-11-02 08:44)
こんにちは。樹です。
小さな子供って本当に動物好きですよねぇ。
功太君に辛抱強くお付き合いしたモンちゃんはエライ!
そして又ミヨさんと二人の穏やかな生活が始まりましたねw
by 樹 (2005-11-07 16:14)