SSブログ

ボクが選んだボクの人生~21 それはボクも気づかなかったよ~ [小説「ボクが選んだボクの人生」]

 彼の腕の中で泣きじゃくっていた彼女が、
突然泣きやんだかと思うと、今度ははじけるように笑い始めた。
「どうしたんだよ、マキ。そんなに嬉しいのか?
子どもみたいに泣いたり笑ったり、忙しいヤツだなぁ。」
ボクも同感だ。彼女は潔くて凛として、それは素敵な女性だけれど
子どものまま大きくなったようなところがあるのだ。
まあ、そこが彼女の魅力的な部分でもあるのだけれど。
「あのね、コースケ。今まで一度も考えたことなかったんだけどね。」
「何を?」
「私のね、名前。オータガワラ・マキ。長すぎて、説明が大変で、
ちっちゃい頃からイヤだなぁ、って思っていてね。
結婚するなら短くて分かりやすい名字の人がいいなぁ、って、高校生の頃までずっと思っていたの。
でも、貴方と結婚出来るなんて思ったことなかったから、
今初めて気づいたの。私、ハラ・マキになっちゃうんだって。」
「ほんとだ!ハラマキ!ほんとだね!僕も気づかなかった。」
「ね、おかしいでしょう?笑っちゃうでしょう。」
「あ、もしイヤだったら夫婦別姓でもいいんだよ。」
「ううん、私、ハラマキがいい。病院の受付なんかでね、
ハラさーん、ハラマキさーん、って呼び出されてたらちょっと楽しいじゃない。」
いいなぁ、プラス思考で。そういうトコ、ボクは好きだな。
一日も早く生まれ出てマキとコースケに会いたいと、ボクは心の底から願うようになった。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:GBA2005ノベル

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。